Mirage

Return to one's everyday life -Another Story-

世は戦国。
群雄が世界を割拠し、己が領土、届く範疇を広げようと画策、鬩ぎ合う。
浅川柚葉には、現状が戦国だとしか思えなかった。
役者は揃っているのだ。
時計塔(ウエストミンスター)より明津季梨亜。
修道院(モンテ・カッシーノ)よりベロニカ・リッヒライティ。
聖女修道院(ベネディクト)より君塚氷彩。
祓鬼三家より夜神藍。
紋章院(カレッジ・オブ・アームズ)よりベアトリクス・ガーター・キング・オブ・アームズ。
まさに、極東で一大戦役でも始まろうかとしているのか。
「イエス。セシリア、君もロッジの人間だろう?」
「あら、わかっちゃった?」
「当然だ。オレを追っていたのなら、な」
秘密結社(フリーメイソン)。ロッジの名を持つ拠点は、フリーメイソンにしかない。
「これで寺院も揃えばフルハウスじゃな」
「残念ね、ディエゴ。劉世徳が来ているわよ。それに、ヒース。貴方の大嫌いなバルトークも」
「おお、ストレートフラッシュじゃ」
どうやら世界各国のゲストが現れているらしい。さらには、リヴィエルロットの存在も確認されているのだ。戦国時代の幕開けは、近い。
「話を戻すわ。総本山(グランド・ロッジ)で聞いた話は二つ。チェスター・ヘラルド・オブ・アームズがロンドンに潜入していた話と、極東の島国で神争再現をするという話。シラサキ、という地で異界への門と膨大なエネルギーをウエストミンスターの学生が観測した。願望が集まる場所、でしょうね。そうなれば、各勢力が黙ってはいない。まして、リヴィエルロットがシラサキに向かったとすれば?答えは単純明確でしょうね。そうして争いが必然的に起きれば、神争の復活というわけよ。そしてすでに集まりつつあり、儀式と成っては戦国を彩るでしょう」
「文字通り、戦国。勝者は一名、願望を掴み、他者を排するが為に戦うか。悠長に異端狩りなどしてる場合ではないな。しかし、リヴィエルロットに吸血鬼ども、フリーメイソンが本腰を上げているとなると、これは厄介だ」
スロウの全力を持って、白崎を守護しなければならない。君塚氷彩も、キリアも呼び戻してだ。
結局は神争になる。勝つために力を欲し、力は集まって異端の世界を築くだろう。
かつて、異端が社会に不適合とされ、隠匿の時代を送っていた日々。大聖堂(サン・ピエトロ)は異端を全て狩るために、膨大な力を一箇所に集めて願望を集約した。そうして、数えること七度。願いを集めた街を灰燼(カイジン)へと変えながら、異端と人間の戦争は行われてきた。
十二年前に終結した最後の神争。スロウの発端となったあの戦い。再現されるとすれば、それは最早、異端と異端という最悪の組み合わせに他ならない。

だからこそ、八度目の神争(エイトス・ヘヴン)だけは勝たなくてはならなかった。
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