Mirage
Return to one's everyday life -Another Story-
紋章院(カレッジ・オブ・アームズ)。
イギリスはロンドンに本拠を構える、儀礼から葬祭を司る機関。
ノーフォーク家から総裁(マーシャル)を迎え、王(キング)、布令官(ヘラルド)、官吏(パーシヴァント)の四階級で成立している。
ウエストミンスターとは別の道を歩む彼らもまた、異端であろう。独自の学問を修得し、体現する紋章官は、魔術・呪術とは違う方向性で神秘を追う者たちだった。
即ち、紋章術。刻まれた紋章より軌跡を紐解き、奇跡と成す。
「ガーター、ともなれば、ノーフォーク家による世襲を除く階級としては最上の者だ」
「だから、気になると?管理人(オーナー)、アサカワ。わたしはただ、妹を連れ戻しに来ただけよ。それに、わたしはキング・オブ・アームズの称号は返してある。だから、チェスター。そう構えることはないのよ」
チェスターとはDのことだろう。チェスター・ヘラルド・オブ・アームズ。三人のキングに次いで、六人のヘラルドが君臨する。さらに四人のパーシヴァントを入れて、十四人の紋章官が紋章院を支配していた。
「すると、ベアトリクスが?」
「ガーターね」
言って、眠る女性を見やる。金髪の女性。まだ幼さを残した、年不相応の姿。
「ディエゴ。其処の男性は誰?」
前ガーター・キングは部屋の隅でコーヒーカップを手にした男を指差した。朝里煌貴である。
「ヤガミコーキだ。寺院協会に背き続けた神道祓鬼三家、遠野夜神家の人間になるな」
「じゃあ妹を任せても問題ないわね。ディエゴ、それにオーナー。話があるの」
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