Mirage
Return to one's everyday life -Another Story-
敵襲。数は、三。
壁に立てかけてあった童子切を手にし、即座に抜いた。鍔さえ無い野太刀のような武器。静かに、暗く、兇暴な刃が露見した。
窓からの襲撃者は放置し、玄関に立つ二人を相手取る。
気配を感じ、驚いたのだろう。飛び下がろうとする敵に追撃を食らわせ、当身で浮いた体に峰を叩きつけて背骨を砕いた。
返す刀で奥に侵入した影を撃つ。右拳。柄の部分でしたたかに後頭を打ちつけ、昏倒しようとする敵を蹴散らして部屋に戻る。
「あら、いい男」
ばったりと残る一人と顔を合わせた。こちらから、月光を背にした襲撃者は見えない。ただ、声音から女性だと先見する。
敵意は感じられなかった。女性はベッドに寝かせてある金髪の女性に手を差し伸べ、その命を推し量っている。放置して、玄関と室内に倒れている二人を部屋の中に積み上げた。
「六王を蹴散らすなんて、限度あるでしょ?」
「――――」
童子切を納刀し、元ある場所に立てかける。そのまま、壁を背にしてずるずると座り込んだ。
「俺は眠いんだ。話なら陽のある時間にしてくれよ、お姉さん」
どことなく怒気を含んだ気配が感じられるも、気にしない。
勝手に人の家に侵入して無視されたからって怒るのは、逆ギレに決まってる。
間の抜けた電子音が聞こえ、礼儀正しい来客を告げるのは、無言で女性と気配の押し問答に飽きた頃だった。
この時間に来る連中は、大抵ロクな人間ではないだろう。
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