Geschick

Mobius of Rebirth-1

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(ハイペリオン/1)                       - Geschick -

 戦士に休息は無い。おそらく、修行中の身であれば次が最後の師だろう。最高の技術を持った英雄のような男。それがリュック・メルレの最後の師となる。寸分たりとも師の実力を疑ったことはなく、一度たりとも勝てた試しがない。
 まず憧れる。そして目指す。やがて知る。本当に強い人間にはどう逆立ちしても勝てるはずがないという事実を知って、もう一度頑張ってみる。だが、そんな自尊心やら向上心を吹き飛ばす一撃を食らって、潰れる。
 そういう過程を踏まえた今なら、修行が楽しいとなどとは思えないのだ。
「色ならいない。渡航の理由は教えてくれなかった」
 おや、と首を傾げる。出迎えた王女は我が主の不在を告げて不機嫌そうに、ソファに腰を落ち着けた。
「そりゃラッキー。平紗のお嬢様もいなかったぞ」
「一緒ではないと思う。平紗が姉と会うために渡航し、追いかけるように色が消えた。関連はあるだろうが、合致することはあるまい」
「あー、うん。師匠ってば、なんつーか、孤独だからな。ある意味、平紗もだけどさ」
 上手く表現出来なかったが、意図は伝わったようだ。不機嫌な理由は夜神色と平紗来未にあると睨んでいたが、あまり関係がないらしい。王女は相変わらずの仏頂面で何事かを思案している様子である。
 状況が、あまり良くない。都市国家群は比較的良好な外交関係を築いているが、それは綱のように脆いもの。孤立しては生きていけないものの、決して深くは無い関係で成立する。
 フェニキアという地域。世界を南北に断ち割って、北にある都市国家群を指す。浮島や街としての規模を保てないものを除けば、五都市。それらは互いに援助し合い、同一とは言いがたいものの、ある程度の生活水準を保つようになっている。例えば、このティルスだけでは農作物を自給することは出来ない。農耕都市であるメディアでは娯楽が無く、穀倉以外の役目を持たない。ティルスはメディアに農具などの技術を提供し、メディアはティルスに作物を送る。
 こういった体系化された相互支援は、中央があるからこそ可能でもある。
「中央都市の王が、な」
 どうにも、王女の歯切れが悪いのはそういうことらしい。
「ニネヴェの少年王か。アイツなら師匠を欲しがるかもな」

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 空は快晴。城から盗んできた背広を着て、悠々と街を闊歩する。
「――――なんだかなぁ」
 待ち合わせの時間には、やや遅れたらしい。手を振って合図を送ってくる相手を見て、印象と違うことを知らされる。
 白昼の駅前。行き交う人々が振り返るその姿。世にも奇妙な二人が並び立つのは、外観的には最高だろう。まるでモデルか芸能人か。サングラスすらせずに腕組みする姿。長髪の外人と涼やかな表情の東洋人の組み合わせ。

「遅ぇよ。オレだって忙しいんだぞ」
「無茶言ってきたのソッチだろ。わざわざ世界超えて来てやったんだよ、こっちは」

 距離で言うなら文句なく遠い。だが、夜神色は直接呼び出されたわけではなかった。異変を感じ取り、調査のためにやってきたのだ。
「立ち話もアレだし、どっか行こうぜ」
 十年来の親友のように話しかけてくる相手に軽く頷いて、歩き出す。一人でも目立つというのに、二人。それも並んで歩いているのだから始末が悪い。集まる視線を出来るだけ流しながら、趣味の悪い喫茶店を目指す。
「で、妹には会ったのかよ」
「あー、会った。相変わらず手厳しくて」
 逃げてきた、というのが本音か。どうも、セイクリッドの当主というのは妹が正しいようだ。

 マスターである人物に注文する。自身の分は常連専用のものを。相手にはお子様向けのエスプレッソだ。ホットのマグカップを冷ましながら口付ける様子を観察し、灰皿を引き寄せる。
 新堂薫。セイクリッドの正統後継者。現代において駆逐される異端者を保護するスロウという組織の責任者。システム作りに非凡な才能を発揮し、指揮官としてトップに君臨する男だ。もちろん、面識など無い。彼の人柄だろう。微笑ひとつ漏らさないが、場を明るくさせるような雰囲気を持っている。
「で、現状を説明しようと思うんだけど」
「ああ。あの新堂薫が来るぐらいだからな」
 要するに、彼では対処し切れない事態に陥ったということ。当然だが、スロウという組織を牽引する人物であるのだから、まだ準備段階に過ぎない。本当に陥るのは、これからである。
「第八神争、って言えば理解出来るか?」
 神争。欲望を持ってして願望を叶える儀式の通称。その方法は至極、単純。他者の欲望を吸収して巨大な願とし、叶えるのだ。過去に七回、異端と社会が争っていた。社会は容認できない異端の排除を願い、異端は保身のために戦った。
 第八神争ともなれば、異端と社会の戦いではなくなる。現状で神争が起きるなら、異端と異端の壮絶な殺し合いに他ならない。
「どうも、内通者がいるみたいだ。フリーメイソンを手引きし、会場へ送っている」
「――――いや、それは。裏切りじゃ、ない」
 だが、どうして。そんな記憶があるのだろう。時間軸がずれているのか、それとも、この意識はすでにその光景を見てしまっているのか。
 多重なる視点はあらゆる世界を写す鏡。鏡面世界にいるのなら、見えぬものさえ見えるだろう。
「やっぱ。忘れてんのか、お前」
「あァ?何がだよ」

「言ってみろよ、色。お前の名前は?お前は――――誰だ?」

 新堂薫は名前を呼んで、名前を訊ねた。
 答えるまでもない質問。だが、答えることの出来ない質問。答えが浮かばない。浮かばないのは名前などではなくて、自分が誰かということ。
「歩いてみろよ。この街にお前は住んでて、お前の居場所があった。そして、帰るべき場所も」
 伝票の上に紙幣を置き、カラになったカップから手を放して、聖者は去っていった。一口ほどしか吸っていない煙草を吸殻に変えて、後を追うように立ってみた。街へ。記憶を稼動させ、意識を動員して街を歩く。
 事実は、簡単である。夜神色の名前は夜神色で、他の誰でもない。もう一人の自分と同じ名前。ただアイツは、浅川柚葉が死鬼のもじりでつけただけだ。それは偽名に似ている。
 本物は、オレこっちだ。
「……ハズだったんだけど、な」
 夜神色は、朝里煌貴という名前らしい。両親もこの街に住んでいて、確かに生きた証拠はある。家の表札には両親の名に続いて朝里煌貴の名が示され、きっと探せば、まだ見つかるものだろう。
 どうやら自分は、朝里煌貴というらしい。ならどうして、夜神色になってしまったのだろう。単なる大学生が、あの怪物になったのだろう。自問して答えが出ないということは、忘れてしまったのだ。
「――――悪いんだけど。この先は、一人じゃ進めない」
「そうですか。私も用事は終わりましたし、ご一緒しましょう」
 穏やかな聖女の声。振り返ることなく、尾行の足を待つ。やがて足音は横へと並び、美しい銀髪が目に入った。新堂薫の妹に一緒してもらえるなら、怖いものなど無いだろう。
 丘を進む。見えてくる洋館。広大な敷地は平紗の家よりも大きい。荘厳な鉄門を前にして、覚悟を決めた。言葉が生み出す真実に、耐えるためかもしれない。あるいは、戻ってくる記憶の衝撃に。
 矢上邸。老女が住む館へと、進んでいく。
「遠野夜神、色だ。祖母に会いに来た」


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(リバース・ゼロ、オリジネイト・アウト)               - Geschick -

 零。それは負でも正でもない。中間に立ち、あらゆる方向を見定め、全ての可能性を秘めている。人は生まれ、善悪のベクトルを歩んでいく。そして死ぬのだ。再びゼロとなるために。
 だが、ゼロに戻ったと仮定して。発生すら認められなければ、どうなるのか。魂はすでに抜き取られた。人形は魂を手に、新たな生を待つ。
「ゼロというのは、虚無でもあり、全てでもあります」
 ヴィジョンが浮かぶ。ゼロが見ることの出来る、可能性。道はここから始まり、果ては見えることがない。ゼロにいる限り、全てを見渡すことが出来る。過去も、未来も。正も負も。
「貴方はゼロに戻った。けれど、魂はすでに無かった。だとすれば、一から始めることなど出来ません。貴方はその手に、自分を握っていたのですから」
 四方、壁面全てが映像。ゼロに立つ自分が見る、ゼロ以外の自分。人はいずれ死ぬ。そして生き返る。新たに、全てを手にして。
「人形だけ用意されて、後付けで貴方になった。朝里煌貴は矢上彩になり、矢上彩から貴方が消えた瞬間、貴方はゼロのまま、貴方になるのです」
 存在は希薄、そして空虚。全てを手にした、からっぽの器。

「故に貴方ゼロは、夜神色つき。全てを見れるけれど、そのどれも手には出来ない」

 ゼロ。それは負でも正でもない。中間に立ち、あらゆる方向を見て、全ての可能性を感じている。何も体験していなくても、意識はそれを感じている。手に触れられない、幻視。けれど幻は現実で、綺麗な手でさえ赤く染める。
 夜神色は、人を殺す。それは、人の願いだからだ。朝里煌貴は自分を守るために、敵を殺してしまう。次は誰かを守るために。次は誰かの願いを叶えるために。けれど、足りなくて。いずれ力尽きてしまった。
 夜神色は、全てを知る。明日の自分を見て、過去の自分を見直す。昨日選ばなかった違う選択を選んでみて、変わった未来を見てみる。そんなことを、繰り返す。ゼロはあらゆる可能性を見る。
 だから、知る。普通を夢見た少年は、その手が汚れていることを知って、ただ一人の少女の願いを叶えようとまた、殺して。次は殺されて。それで、いつか思ったのだ。英雄になりたいわけではないけれど、この手で誰かを救えればいいと。
 方法は一つしか知らなかった。いなくなった少年を守るために、坊主を殺して少年と妹を守った。少女と親友を殺そうとする騎士を殺して、二人を守った。殺すことでしか、願いを叶えられなかった。いや、願いなんていうものは、殺すことでしか叶わない。
 もう何度、繰り返したのか。そして何度、繰り返すのか。タスケテと叫ぶ声に応じるうちに、エイユウなどと呼ばれ、そして誰かをコロシテ誰かを救って、最後は、必ず、コロサレル。
 他の誰でもない、人々の願いによって英雄の悪魔は殺される。

斬って、悲哀が通じなくなるまで斬って。なにもわからなくなるまで殺して。
わからないということさえ、わからなくなって。それでも未来は殺し続けて。
――――俺はこの先、千の屍を築く悪鬼となろう。

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「あらゆる視点を持ち、あらゆる次元を観賞する。それが、ゼロである夜神色の能力か」
 未来の自分、過去の自分。そして別の選択をした自分。様々な自分の視点をゼロとして共有する。見えないものなどない。観測者は全てを視認することが可能だろう。そして、視点となった自分に干渉することも。
「そう、でもねぇ、色。今なら、貴方のその悪夢も変えられるでしょう」
「けど、それじゃあ。救われたはずの笑顔は、無くなる。確かに誰かが笑っていた。死地で救われて、笑顔を作る人もいたから。そういうの、失くすのイヤなんだよ、俺」
 祖母である矢上瑠璃の助言を拒否して、夜神色は笑う。あらゆる「自分」を統合し、幾千を殺した英雄なる悪鬼は、それでも笑顔でいることが出来た。そのことに安心する。自分を、失わずに済んだ。
「それに、案外、この名前が好きだ。夜神色。全部を観賞するなんて、地球を見下ろす月みたいだからな」
 老婆との語らいを楽しむ。退屈など無かった。時折やって来る家政婦は紅茶を注ぎ、去る。優雅だが、どこか人寂しい家。主人と召使しかいない家。
 矢上の家に、父が戻ることはない。老婆はここで、息子に忘れられたまま、老い、そして死ぬ。
「ああ、紹介する。そこで拾ってきたアーシュ・リーティアだ」
「人を猫のように言わないで下さい。ご挨拶が遅れました。お初にお目にかかります、矢上様」
 しっかり突っ込んでから、挨拶する。対面のソファに座る老婆に、恭しく礼をする姿。上品というか、優雅というか。さすがはお嬢様。堂に入った行儀よさだ。
「……恋人?」
「マセたバアさんだな――――うおッ」
 窓ガラスを突き抜け、飛来してきた剣を回避する。ソファを串刺しにする剣。正確無比に、色だけを狙った攻撃だ。隣に座るアーシュでさえ驚いている。驚いているが、表情には出ない。ここまで沈着冷静なら異常かと思われる。
「シスコンの兄貴がいるんだよ」
「あらあら。家族の了承はまだなのかい?」
「ちょっと待って。今、撃ち落とすから」
 覗き見し始めたセイクリッド宗家当主に向かって魔弾を撃ち込む。正確に額を撃ち抜いて、落下音が響く。まぁ、アレじゃ死なないだろうし。仮に死んでも自業自得だし。言いだしっぺはウチのバアさんだし。それにほら、俺、単なる大学生だし。

 玄関まで見送ってくれた老婆に礼を返す。広すぎる家。どうせ自分は、朝里の家に帰れない。帰りたい場所があるとすれば、この屋敷に。それも、大勢で住むことを誓ってドアノブに手を置く。
「じゃあな。また来るよ」
 広い敷地を眺めながら門まで歩き、連れ添う女性にも礼を言う。自分きおくは取り戻した。未来は分かりきってしまっているものの、自身の足で歩めばまた、違った感情も生まれるだろう。
 屋敷を背に。せめて選んだ道に胸を晴れるよう、背筋は伸ばしておく。
「貴方は何もわかってはいないのです。救われる者がいれば、傷つく者がいます。そのどちらも救えるなどと、都合のいい理想は存在しません。目指すとするならば、それは理想でも夢でもなく、狂気でしょう」
 厳しい声。聖女は知っているのだ。力を持つからこそ、知る。神通力を持つ聖女。人を救うリーティアの少女。誰かを救えば特別になり、不公平だと叫ばれる。全員を救う選択肢が存在しないことなど、承知している。
 力の責任。全てを知るなら、口に糊をし黙って過ごせ。さもなくば、その責務に押し潰される。
「言っただろ。救えるモノを失うのはイヤなんだ。俺は昔に、知らず決めていたのかもしれない。ま、この話はまた今度かな。オマエも、そろそろ戻れよ――――来未」
 用事を終えただろう平紗来未に戻るように指示し、丘を下っていく。
空は快晴。さぁ、これからどこに行ってみようか――――


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(ハイペリオン/2)                       - Geschick -

 帰還した騎士を伴い、二名だけで船に乗る。あくまで、地方の王女という立場を忘れず。一名だけの護衛なら敵方の威厳も傷つけずに済む。飛び切り腕の立つ護衛であり、船の操縦士は業界屈指の人間であるが。
 南方、フェニキアと呼称される地域の南端に位置する都市国家がある。名をニネヴェ。巨大な城郭で、他の都市国家とは一線を画す、盟主国たる位置付けである。通商路を開き、物流を作り、脆弱な外交関係ながらも相互援助を可能とするには中心が必要だった。
 言うなれば、世界の中心都市。首都と呼ぶに相応しい都市国家。あらゆる貿易の中心にあり、物資も金銭もここを軸に回っている。ニネヴェと比べるなら、他の都市国家など従属しているに過ぎないだろう。
 巨大な港に停泊し、二人で門をくぐる。門番の兵士は屈強。頑強な男たち数名に囲まれ、まるで罪人移送のように王城まで通される。田舎の王女とその侍女。立場は低く、弱い。
 太陽王、または少年王。ニネヴェの元首はあどけない表情で迎え入れてくれた。
「公式な外交でもなし、ここで兵士やら閣僚やらに見つめられて話すのも息苦しいでしょう?どうぞ僕の私室へ。お忍びというわけではなさそうですけど、そっちの方が都合、いいんじゃないのかな」
 少年王はにこやかに、自室へと誘う。まだ十三歳と若く、そのために怖いものがない。保守的な思考を払拭し、改革を推し進める強硬な行動派だった。彼の前では、どんな古典的儀礼も意味をなさない。また、周囲を納得させるだけの学もあるのだ。
天神騎士団セレスト・ミリシアの件についてでしょう?僕はソチラの国に、非常に関心がある。位置的にも、北方三都市の楔になりますし」
 治安の維持を行うにあたって、北方の三都市とニネヴェでは距離がありすぎて問題がある。ティルスの位置は北方を睨む抑止力となっているのも事実。騎士団が置かれ、治安維持活動を展開する理由は立地条件にも由来している。
 軍国、というわけではない。ティルスとニネヴェ。役割は似ているが、軍があるのは後者である。徴兵制と殖産興業による富国強兵政策。流入する物資を資源とし、産業とするニネヴェでは人口の多さから徴兵制度を可能とした。一方のティルスは、有能な能力者を育成し、産業の効率、精度を高めた。代表例に、アヴィヨンによるエアワーカーなどがある。二都市は酷似していると言っても過言ではない。
 関心がある、とはそういうことだ。従属だけでは足りないのだろう。
ティルスの飛空者エール・ティルもそうなんですけど、時に中央を圧する力を持つとはこれ如何に?」
 微笑しながら、少年王は詰問する。それはさながら、証人喚問。咎人はかくも弱く、論することは難しい。慎重に言葉を選びつつ、ベアトリクスは証言し始める。
「我が国は貴国とは違い、規模が小さく人口もまた少ない。産業らしい産業も無いが、農地も無いので自給することは難しい。産業が無いのであれば、大事にすべきは人である。我らは人材育成に力を入れ、結果として優れた能力者を輩出している。言うなればこの人こそが他国とも比肩し得る産業であり、同時に通商を担う役割を負う。ならばこそ、アヴィヨン・ド・サン=テグジュペリに代表されるエール・ティルのような、屈指の飛空者が存在しなければならない。他国に不足しがちな運輸の道を作る。そして道の治安を守るのは当然のこととは言えまいか」
「うん、続けてください」
「騎士団とはこの治安維持部隊のことを指す。彼らは軍ではなく、よって敗北は許されない。一撃で悪を砕く能力を要される。さらには、彼らがいるという事実でもって抑止力となる。騎士団ミリシアとはそういった連中である。私自身が監督することでもう二度と反旗は翻させない」
 正論、ではあった。一気に考えを主張し、事実を突きつけて反応を待つ。少年王は満足げに頷いた後、声を上げて笑っていた。時間が止まる。この場での笑みは、何を意味するのか理解出来かねたからだ。

「――――呆れた。お姉さん、本気でそう思ってるんだ」

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